車道を歩く高齢女性「放っといて」 教員夫婦がとった30分間の行動
認知症の高齢者が行方不明になり、警察が捜索に乗り出す事案が相次ぐなか、福岡県警粕屋署は認知症の高齢女性2人をそれぞれ助けた3人に感謝状を贈った。「放っといて」と怒られても警察が到着するまで見守ったり、お茶を買って車で休ませたり。献身的な行動で、高齢女性たちは無事家族の元に戻ることができた。
感謝状を贈られたのは、飯塚市西徳前の高校教員畑中健司さんと中学校教員の陽子さん夫妻、宗像市鐘崎の漁師灘邉(なだべ)哲也さん。
署によると、5月1日午後9時40分ごろ、車を運転していた陽子さんが、福岡市東区の福岡都市高速の高架下の道路で、追い越し車線を歩く女性に気づいた。近くのコンビニに車を止めてから女性に近づき、声をかけた。
女性は「うるさい。放っといて」と怒った様子で再び車道に向かおうとしたが、健司さんと共に行く手を阻み、110番通報。30分ほど周囲を歩きながら、警察官の到着を待った。
署によると、女性は70代で軽度の認知症。同日午後4時ごろ、発見された場所から約9キロ離れた新宮町にある店で夫と食事をした際、トイレに行くと言ったまま行方不明になり、夫から110番通報があった。
健司さんはこの経験を勤務する高校の生徒たちに伝え、「困っている人を見かけたら助けてあげてほしい」と話したという。
灘邉さんは、5月24日午後10時50分ごろ、福津市勝浦の県道の側道で横になっている90代女性を発見した。女性は裸足だった。「のどが渇いた」という女性にお茶を買い与え、車に乗せて休ませた。
どこから来たか尋ねると、約70キロも離れた八女市広川町から、と答えた。灘邉さんは祖母が認知症だったこともあり、「認知症では」と感じた。
女性は4日前から古賀市の娘の家に泊まっていたが、24日の午前11時ごろから行方不明になっていた。灘邉さんは「みんなが助ける気持ちをもつ優しい世界になってほしい」という。
粕屋署の森崎健次副署長は6月8日、3人に感謝状を手渡し、「認知症の高齢者の行方不明は社会問題となっている。親切な方の手助けが命を救うことになり、今後も協力をお願いしたい」と話した。(椎木慎太郎)
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- 【視点】
自分がこうした場面に遭遇したら、こんなに粘り強く対応できただろうか、と思わせられる話です。この話を読み、9カ月ほど前の自分の体験を思い出しました。 午前6時過ぎ、犬の散歩中、いつものルートの歩道上に、高齢の男性が大の字になっていました
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