妊婦健診の日に発熱→コロナ陽性 妊娠7カ月の記者が直面した不安

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関口佳代子
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 「発熱外来見つからないよ」

 今月5日の午前11時すぎだった。私(31)が寝室から出ると、夫(32)が申し訳なさそうに言った。

 「妊娠中って伝えたの?」。思わず責めるような口調で返してしまった。

 妊娠7カ月の私はこの日、ちょうど妊婦健診を予定していた。ところが午前8時過ぎに体温を測ると37・4度。すぐにかかりつけの産婦人科に電話をして健診の延期をお願いすると、「発熱外来を受診して検査を受けた方がいい」。そして、コロナ陽性だった場合は「保健所とつながって療養期間を確定させ、明けたら健診の予約を取ってほしい」と言われた。

 厚生労働省が作っている「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」には、「主な重症化のリスク因子」として「65歳以上の高齢者」や「慢性呼吸器疾患」などとともに「妊娠後半期」が挙げられている。コロナに関しては、「妊婦が31歳以上」「妊娠21週以降」が重症化と関連があるという日本産科婦人科学会の指摘もある。自分は妊娠中期ではあるが、言われるまでもなく、すぐに医療機関にかかりたかった。

徒歩圏内に当日の予約枠なし 1週間待ちの発熱外来も

 しかし、ここからが大変だった。夫に発熱外来の予約を頼み、自分でも布団の中から地元の保健所に電話をしたが、10回ほどかけてもつながらない。体温は37・7度、頭もボーッとしてきた。

 午前10時すぎ、買ってきてもらった抗原定性検査キットで調べると、コロナ陽性という結果だった。受診しようと、徒歩圏内の発熱外来6カ所に連絡を入れたが、どこも当日の予約は埋まり、それどころか1週間待ちというケースもあった。

 職場にメールを送り、キットで陽性だったことと、保健所にも発熱外来にもつながれないことを伝えた。

 食欲は普段通りで、昼は甘口のカレーを食べた。少しだけ油っぽく感じたが、嗅覚(きゅうかく)にも異常はなく完食した。水分も問題なくとることができ、息苦しさなどもなかった。妊婦でも飲める市販の解熱薬も用意していたが、服用せずそのまま休むことにした。

 午後2時過ぎ、再びかかりつけの産婦人科に電話で相談。胎動が感じられること、不正出血や腹痛がないことなどを伝えると、保健所などに確認して折り返すと答えてくれた。その頃には体温は38度を超えていた。

妊娠7カ月の記者が新型コロナに感染し、発熱外来にかかる難しさを身をもって感じることとなりました。妊婦は重症化リスクが高いとされているのに、必要な医療までの距離は遠い。記事後半では、コロナ医療の課題を実感した記者の意見も掲載しています。

 枕元に水筒を置き、氷枕と氷囊(ひょうのう)で足の付け根や首などを冷やして横になっていた。午後4時ごろには体温は39・4度に上がり、心拍のたびに頭が揺さぶられるような感覚だった。

 午後4時半ごろ、夫がやっと保健所の窓口と話せた。26回目の電話だった。東京消防庁の救急相談センター(#7119)に連絡するよう指示された。医師や看護師らが24時間年中無休で医療相談に応じており、コロナ感染が疑われる場合にも対応している。夫が電話すると、すぐにつながり、「今日中に発熱外来を受診した方がいい。いざとなったら救急車を」とアドバイスを受けた。「朝から同じこと言われているよな」と滑稽に思えてきた。

 午後5時ごろ、産婦人科から連絡があり、やはり発熱外来の受診を勧められた。不正出血や腹痛などがあったらすぐに連絡すること、ただ救急病院を探すのは時間がかかることを覚悟しておいて欲しいと念押しされた。

 再び夫に発熱外来を探しても…

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