「チーズみたいに肺が溶け」ハリセンボン箕輪はるかさんが闘った結核

後藤一也 神宮司実玲
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 2021年に国内で結核の診断を受けた人が10万人あたり10人を切り、日本がついに「低蔓延(まんえん)国」になったと厚生労働省が30日、発表しました。ただ、いまも年間に1万人以上の人が結核にかかり、苦しんでいます。

 お笑いコンビ「ハリセンボン」の箕輪はるかさん(42)も09年、29歳で肺結核の診断を受け、長く入院しました。どのような病気なのか、知ってほしいと考えています。

     ◇

 結核になる前、レギュラー番組は5~6本で休みは月に1日ぐらい。1日4時間ほど寝て、また仕事というスケジュールが数日続くこともありました。

 最初は「コホコホ」という乾いたせきが出るようになり、その後は「ゴホン」とたんが混じるようなせきになりました。

 ついには、「グォホー」というぐらいの大きなせきが出て、しかも出始めると1分ぐらいおさまらなくて。

 でも仕事中にあまりせきこむことがなかったので、半年ほったらかしにしてしまいました。

 ところが、せきのしすぎで右と左の肋骨(ろっこつ)が痛くなってきました。

 家の近くにあった病院に行きました。先生は胸のX線を見て、「これは結核かもしれません」とすぐに言いました。

 「この平成の時代にまさか自分が結核になるの?」

 熱があるわけでもなく、元々食が細いので食欲不振もなく。「風邪の後に長引くせき」ぐらいにしか思っていませんでした。

 でも「結核」をネットで調べると、症状は微熱とも書かれてあって。本当にわからなくて不安になりました。

 次の日、以前受診したことがある別の病院に行きました。

 「もう結核ですから、きょうこれから入院してください」と言われました。

 しかも、人にうつさなくなるまで、2カ月間も入院することになったんです。

 病室から出られるのは週に1回の検査と、個室の向かい側にあるお風呂に入るときだけでした。

 治療は、3種類の薬をのむだけでした。「のめば治りますよ」という一言で安心しました。

 相方のはるな(近藤春菜さん)はすごく心配してくれて。1人で番組に出るときに「これから行ってきます」という写真をマネジャーを通じて送ってくれました。

 菌がうつった可能性もあるので、はるなには何回も検査に行ってもらいました。

 たんの検査をして、人にうつらなくなったことを確認して、予定通り2カ月で退院できました。久しぶりに病院の外に出ることができて、本当にうれしかったですね。

 退院の少し前、私の胸のX線を見ながら、先生から「肺がチーズみたいに溶けちゃっているんだよ」と言われ、ちょっと怖くなりました。「もうちょっと遅れていたら大変だった」とも。

 せきで肋骨が痛かったのは、「たぶん折れている」とのことでした。

 私が結核を発病した原因は「栄養不足」と言われました。ごはんをちゃんと食べられていなくて、疲れて免疫力が下がって発病したようです。

 当時は、食べる暇も無く仕事をがんばっている自分がかっこいいと思っていて、1日1食とか、お弁当も好きなものだけつまむとか、お菓子だけとか。栄養バランスは偏っていました。

 体のためにしっかり食べようと考えるようになりました。

 睡眠時間もできるだけたくさんとって、運動もして。免疫力を下げないようにするのは大切ですね。

 せきが長く続いたときは、たいしたことないと思わずに、ためらわずに医師に相談して欲しいと思います。(後藤一也、神宮司実玲)

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