成人後7割が「生きづらさ」 親の精神ケア経験が子どもに長期影響も
精神疾患の親を持つ「ヤングケアラー」だった人の7割は、大人になっても生きづらさを感じる――。こうした研究結果をもとに、心理面で長期的な影響を受けた子どもと、病気に苦しむ親らを「家族丸ごと」で支援する必要性が指摘されている。そのための専門職向け研修ツールの開発も進行中だ。
大阪大学の蔭山正子教授(公衆衛生看護)らのグループは、精神疾患のある親を持つ人の会に参加した240人にアンケートを実施。20代以上の120人から回答を得て、分析した結果を2020年に論文にまとめた。
それによると、ヤングケアラーだった67・5%が「生きづらさを感じている」と答えた。24・2%は自身が「精神疾患にかかっている」とした。約半数は、精神疾患はなかった。
海外の研究では、精神疾患の親を持つ子の方が、持たない子よりも精神疾患になるリスクが2・5倍高いという報告もある。
子どもの心身の不調にも
蔭山教授らの調査でも、ストレスのかかる環境で育つと健康状態に影響することが示唆された。
小学生と中学生のころ、「家で大人同士のケンカが絶えなかった」のは6割。小学生から高校生までに半数が「心身に不調をきたした」と答えた。親へのケアの内容では、親の精神状態が不安定な時に話を聞くような「情緒的ケア」の割合が最も高く、6割。「身体的介護」は1割以下だった。
ひとくくりにヤングケアラー…
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