第7回発熱から5日、コロナで旅立った父 ぶつけようのない悲しみが残った

有料記事コロナ3年 人生が変わった

阿久沢悦子
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 父の死亡確認のため、兵庫県尼崎市ケアマネジャーとして働く是沢宏美さん(42)は防護服を着て、病室に入った。コロナにかかって動けない他の家族を代表して、医師から説明を聞いた。2021年5月のことだ。

 死亡診断書には「ストレス性消化管出血」「低酸素血症」(約2時間)、「COVID-19」(約5日)と書かれていた。「コロナによる呼吸苦のストレスで食道から出血し、吐血、肺に血が回りました。吐血以降は意識がなかったので、苦しんでいないと思います」と医師は言った。納体袋が透明だったのが幸いだった。袋の中の父は穏やかな表情をしていた。

 とっさにスマホで遺体を撮影した。写真や動画がなければ、母が父の死を受け入れられないかもしれない、と思ったからだ。

 それから1年半。

 「撮影した私自身が、まだ父の死を受け入れられていないんです」と宏美さんは言う。

 宏美さんと父・重太郎さんはコロナ治療について詳細な記録を残していました。2021年5月、デルタ株の感染が急速に拡大する中、保健所、発熱外来、病院がどのような混乱に陥っていたのか。患者の家族はどのような決断を迫られたのか。記録からたどります。

「朝から自分も発熱」

 父、重太郎さん(当時70)…

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