命にかかわる「劇症肝炎」、薬やサプリも原因に 移植が必要な人も

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野口憲太
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 肝臓は、生きるために必要なさまざまな物質をつくる機能や、アルコールやアンモニアなど、そのままでは有害な物質を分解して「解毒」するはたらきがある。

 「劇症肝炎」は、肝細胞が壊れて肝臓の機能が落ちる「急性肝炎」が重篤化したもので、急性肝炎の患者の1%ほどが、劇症肝炎にまで進行してしまうとされる。

 原因は、ウイルス感染や自己免疫疾患が知られるが、薬が原因になることもある。処方薬だけでなく、漢方薬やサプリメントなども原因になりうる。

 アレルギー反応の有無や個人の体質も影響する。薬などの量に関係なく起こることもあり、事前に予測するのは難しい。服用中に倦怠(けんたい)感や食欲不振、黄疸(おうだん)といった症状が出ていないか注意が必要だ。

 血液濾過(ろか)透析など、肝機能を助ける治療が行われるが、回復せず移植が必要になる人もいる。

 劇症肝炎のほか、肝硬変や胆道閉鎖症の患者なども、移植の対象になり得る。

 肝臓移植には、親族から肝臓の一部を提供してもらう生体移植と、脳死になった人からの提供をうける脳死移植がある。

 日本肝移植学会の報告によると、生体移植は年間300件ほど。脳死移植は家族の承諾で提供が可能になった2010年以降は増え、近年は年間60~80件ほどとなっている。生存率(20年末までの全症例)は、生体移植で1年後86%、10年後74%。脳死移植で1年後89%、10年後76%とされる。

 脳死移植ができる施設は全国23カ所(22年12月)に限られる。一方、移植が必要となる臓器不全の患者は全国各地にいる。肝臓に限らず、移植を想定した患者のケアは広く求められる。

 移植患者は、免疫抑制剤を飲…

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