子育て中の「睡眠中断」に男女差 途中で起きて育児、女性は13倍

田渕紫織
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 国際比較調査の結果を見ると、日本の女性の睡眠時間は、際立って短いことがわかります。時間だけでなくて、その中身も――? 国際女性デーを前に、睡眠のジェンダーギャップについて考えてみます。

 経済協力開発機構(OECD)の2021年の調査では、33カ国中、日本人の平均睡眠時間は7・4時間と最短だった。男性より女性のほうが13分短かった。男性より女性の睡眠時間が短いのは、日本を含む6カ国だけの傾向だった。

育児で睡眠中断 女性は男性の13倍

 こうした睡眠時間の男女差は長年知られてきたが、近年は、質の高い睡眠がとれているかどうかについても、男女差が明らかになっている。

 佛教大講師の柳下実さん(社会学)が国の06年の社会生活基本調査の匿名データを用いて分析したところ、子どもがいる人は、女性は男性の13倍、育児による睡眠の中断を経験しやすいことがわかった。

 「男性は日中、育児に参加できないことが多いぶん、夜に睡眠を中断して育児して埋め合わせをしている、ということもありませんでした」

男女問わず睡眠不足

 柳下さんは、「ジェンダーの不平等が明らかになった」とする一方で、「日本に住む人は全体として睡眠時間が足りていない」と強調する。

 「日本社会では、睡眠時間を削ってでもバリバリ働いたり遊んだりするのをよしとする価値観が根強い」と指摘。ワーク・ライフ・バランスを考える時にももう少し睡眠の視点を採り入れるべきだとし、「きちんと眠ってコンディションを整えて生活する考え方に転換しない限り、根本的には解決できない」と話す。(田渕紫織)

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    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2023年3月5日11時20分 投稿
    【視点】

    地方に住む妹は共働き。それなのに夫が家事を何もしないと嘆いていました。一方、わが家の夫は率先して夜泣き対応をしていました。この違いのバックグラウンドには2つの要素があると思います。 ひとつはジェンダー意識。夫は私の存在を対等にみていたし職

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]