食事から摂取する栄養素のビタミンDは、女性や緯度の高い地域に住む人では不足によって死亡リスクが高まるらしいことが、全国の住民を対象とした専門家チームの分析でわかり、論文報告された。
ビタミンDは魚やキノコ類などに多く含まれるが、日光の紫外線を浴びることでも体内で大量につくられる。このため、紫外線を日頃から避けている人や、高緯度のため紫外線量が少ない地域に住む人たちのあいだで、食事の影響が表れやすいようだ。
1995年から98年にかけて、食事調査に協力してもらった全国の約9万4千人のその後を2018年まで追跡し、食事からのビタミンD摂取量と死亡との関係を調べた。
喫煙や飲酒、運動習慣や肥満度などを考慮したうえで、食事からのビタミンD摂取量に応じて住民を五つのグループに分け、死亡リスクとの関係を分析した。その結果、全体としては摂取量と死亡リスクのはっきりした関連は見られなかった。
だが、女性と、対象としたうち高緯度の地域(岩手、秋田、新潟、長野の各県)の住民に限ると、ビタミンD摂取量が最も多い人たちでは最も少ない人よりも死亡リスクが13%、12%、それぞれ低かった。逆に言えば、摂取が足りない人は死亡リスクが高まることになる。
また、死因となった主な病気でみると、食事からのビタミンD摂取量が多いと、脳梗塞(こうそく)や肺炎による死亡のリスクが低くなる傾向が見られたという。
ビタミンDは不足すると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や2型糖尿病、感染症などのリスクが高まることが指摘されている。日光の紫外線を浴びることでもつくられるが、紫外線が弱まる季節などには不足が問題となる。新潟大を中心としたチームの住民調査では、血中のビタミンD濃度は3月と4月に最も低くなっていた。
なお、最も少ないグループで…
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- 【視点】
栄養素の不足はマルチビタミンなどのサプリメントで補おうという考え方もありますが、サプリメントの使用は過剰摂取につながることもあります。特に、ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、体内に蓄積され、過剰摂取となって健康に影響を引き起こす事例もありま
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