がん細胞の中身をゼリー状に固めて死滅 副作用起きない可能性も期待

有料記事

鈴木智之
[PR]

 がん細胞の中身をゼリーのように固めることで死滅させるという新たな発想の抗がん剤の開発に、神戸大学の化学者たちが挑戦している。がんにだけ反応する物質を投与して、さながら「がん細胞自身に抗がん剤をつくらせよう」という試みだ。

 従来の抗がん剤は、がん細胞だけではなく、他の正常細胞にも作用して重い副作用を起こすことがあるほか、薬の開発に手間と時間がかかり、非常に高額化するなどの問題が起きている。

 研究チームは、生体への毒性が低く、安価な「ペプチド脂質」という物質に着目し、抗がん剤の開発を進めてきた。

 昨年は、ペプチド脂質が、「チロシンキナーゼ」という酵素と結びついたときにだけ、ゼリー状に固まる「ゲル化」を起こすよう設計した抗がん剤を開発。リン酸化という反応により、抗がん剤はがん細胞内にある「小胞体」に集まってゲル化する。これをきっかけに、「アポトーシス」と呼ばれる自殺プログラムが起動し、がん細胞が死滅するのが確認できたという。

 この酵素は、皮膚がんや肺がんなどの細胞内に多い酵素という。実際に皮膚がんのマウスに、週3回のペースで注射してみたところ、生理食塩水の場合と比べ、がんの大きくなる速度が遅くなった。

 この仕組みの抗がん剤が実用…

この記事は有料記事です。残り271文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら