国内にも迫るサイレントパンデミック 「健康への最大の脅威の一つ」

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吉備彩日
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 抗菌薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性菌。有効な治療が限られ、感染拡大防止策も必要だ。新型コロナウイルス感染症の波の中で難しい対応を迫られた医療機関もある。水際対策などの規制が緩む中、コロナに加えて「サイレントパンデミック」と呼ばれる耐性菌の脅威への備えが再び急務になっている。

 2022年の年始から始まった新型コロナウイルス感染症の第6波のさなか、大阪公立大学医学部付属病院(大阪市阿倍野区)に、ある患者が腸管穿孔(せんこう)で救急搬送されてきた。

 「耐性菌に感染しているかもしれない」

 通常は無菌であるはずの腹水から、何らかの微生物が見つかったのだという。電話連絡を受けた感染制御部では、室内にいたスタッフ全員が「臨戦態勢」をとった。

 詳しく検査すると、正体は「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)」という細菌だと判明した。腸球菌自体は、ヒトの腸内に常在するありふれた細菌。しかしVREは、治療法が少ない極めて厄介な病原体だ。

 耐性菌とは、感染症の治療で…

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