将来に備えて卵子凍結、健康な人は「じっくり検討を」 学会が動画

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野口憲太
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 日本産科婦人科学会(日産婦)は、健康な女性が将来の妊娠の選択肢を残すために行う「卵子凍結」について、メリットやデメリットをまとめた動画を公式サイトに公開した。企業や自治体で費用を助成する例が増えていることを受けたもので、「卵子凍結が未来のあなたにとって必要か、じっくり検討していただきたい」としている。

 動画では、年齢とともに卵子の数が減るため妊娠率が落ちるほか、卵巣の病気などにかかる場合もあり、卵子凍結は、それに備えられるメリットがあると紹介。一方、高年齢での出産は母体や赤ちゃんへのリスクが高まること、海外の報告では、健康な人の卵子凍結では、その後に自然妊娠するなど、凍結卵子の9割が実際には使われなかったことを解説している。

 抗がん剤などの治療前のがん患者らを対象とした卵子凍結は、「医学的適応」と呼ばれ、日本では2021年度から、公的な助成金が出ている。

 一方、健康な女性の卵子凍結について、日産婦や日本生殖医学会は基本的に推奨していない。

 これに対し、社員への福利厚生として費用の一部を支援する企業は増えている。自治体では、千葉県浦安市が助成事業を始め、15~18年に34人が卵子を凍結した。東京都も今年度、少子化対策の一環として、関連予算1億円を計上。制度の正式な開始にむけた需要調査の名目で、調査に協力した女性を対象に、卵子凍結にかかる費用の一部を助成するとしている。

 日産婦は5月8日、都に申入書を提出した。健康な女性の卵子凍結については「あくまでも当事者の選択に委ねられる事項」としたうえで、「推奨しない」と改めて指摘。卵子凍結を実施する場合に、学会に「医学的適応」で卵子凍結をする施設として登録していること▽学会への実績などの報告義務を過去3年間遂行した実績があること――など施設に求められる要件を示した。

 日産婦の木村正理事長は、「…

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