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睡眠医学の専門家「もっとよく寝たいなら、睡眠に関するありがちな7つの間違いを正そうぜ!」

 


睡眠の再構築(Sleep Reimagined)」って本をチビチビ読んでおります。著者のペドラム・ナバブさんは睡眠医学の専門家で、本書では、認知行動療法を使った睡眠改善の方法をまとめてくれていて良い感じです。

 

 

で、ナバブ先生は、「睡眠を改善するには、とりあえず睡眠についての間違った考え方を正さなきゃだよねー」と言ってまして、代表的な勘違いをいくつか挙げてくれてます。これがなかなか役立つので、簡単にまとめておきましょう。

 

 

 

間違い1.「寝る前に運動してはいけない」

寝る直前の運動は睡眠の質が下がると言われてきたものの、近ごろの研究ではいまいち指示されていない感じ。例えば、2019年に行われた睡眠研究のレビュー(R)では、夜に運動をしても睡眠の質には悪影響が出ないと結論づけられているし、中には睡眠が改善するケースも見られたとのこと。

 

唯一の例外は、寝る前の1時間以内に負荷が大きい運動(ランニングやサイクリングなど)を行った場合で、このときだけは被験者の多くが「眠れなくなった!」と報告している。そう考えると、よほど激しい運動をしない限りは問題なさそう。

 

 

 

間違い2. 「目を閉じてベッドに横たわるだけでも睡眠になる」

目を閉じてベッドに横たわっても、睡眠の代わりにはならない。それどころか、眠れないのにベッドに居続けると、睡眠の問題が長期化する可能性があり、やがて不眠症になってしまうケースも少なくない。これは、私たちの心身が「ベッドで眠らない状態」に慣れてしまうのが原因だと考えられる。

 

そのため、もし20分以上横になって起きていたり、イライラしているようなら、ベッドから出てリラックスできることをするほうがよい。

 

 

間違い3. 「睡眠は8時間必要」

昔から睡眠は8時間が理想だと言われてきたが、すべての人に当てはまるわけではない。もう少し多い睡眠が必要な人もいれば、少ない睡眠でも問題がない人もいる。これは、自分の体調を観察しながら確かめるしかない。

 

また、認知能力を保ちたいだけなら、睡眠時間はもっと短くてもよい。頭の働きを高めるには、5.5時間から7.5時間の睡眠をとれば大丈夫で、スイートスポットは6.5時間だと考えられる。

 

 

間違い4. 「起きれないときはスヌーズを使う」

睡眠研究の世界では、スヌーズボタンは「睡眠パターンを狂わせる原因のひとつ」と言われている。スヌーズ機能は睡眠サイクルをジャマするため、使い続けると睡眠が断片化し、目覚めた後もすっきりしない状態になってしまう。これは睡眠慣性として知られてる現象で、目覚めた後も認知機能が低下する。

 

さらに、スヌーズは体内時計を乱す働きもあり、たくさん使うと不眠につながる可能性もある。スヌーズを使う代わりに、ベッドから数メートル離れた場所にアラームを置き、アラームを止めるには寝床から出るしかない状態にするのがよい。

 

 

間違い5. 「睡眠不足は取り戻せる」

平日に睡眠時間を削っても週末でたくさん寝ればOKと思っている人もいるが、実際にはそんなことはない。睡眠不足だと深い睡眠の量が減り、身体や免疫システムのダメージが回復しなくなってしまう。この問題は時間とともに蓄積され、簡単には取り戻せない。

 

そのため、もし前日に眠れずにぐったりしたときは、翌日にすぐ昼寝をとったほうがよい。この時、昼寝のタイミングは午後1時までにしておき、1回あたり30分以内にするのがポイント。そうしないと、今度はその日の夜に睡眠の室が下がる可能性がある。

 

 

間違い6. 「短眠でも大丈夫なようにトレーニングできる」

世の中には「4時間睡眠に慣れる方法」のような情報もあるが、実際には不可能だと考えられる。いまのところ、睡眠不足による脳機能の低下は時間の経過とともに増加し続けることがわかっており、トレーニングで短眠が可能になった例は確認されていない。

 

「短眠を続けるうちに慣れた」と主張する人がいても、それは単に心身の機能が低下した自覚がないだけであり、睡眠が必要なことに変わりはない。

 

 

間違い7. 「ペットと寝てはいけない」

かつては「ペットと寝ると睡眠の質が下がる」と言われたが、最近の研究では、ペットとの添い寝は、人間と一緒に寝るよりも睡眠を妨げない可能性が示されている。もちろん、アレルギーがある人は別だが、それ以外の人は、ペットと寝ることで不安がやわらぎ、リラックス状態が起きやすくなり、ひいては不眠が改善する可能性もある。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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