サーキットを超高速で疾走するレーシングドライバーは、周回を重ねてもコース上のほぼ同じ地点でまばたきをしていることが、専門家たちの研究で分かった。
まばたきを1回すると、約0・2秒間の視覚情報を失うとされ、時速200キロメートルで走る車ならその間に約11メートルも前進してしまう。まばたきのタイミングや回数は、寸秒を競うレースに大きく影響する。
研究に取り組んだのはNTTコミュニケーション科学基礎研究所の西薗良太・リサーチスペシャリストら。全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦している「ドコモ チーム ダンディライアン」の協力を得て実施した。
ヘルメットにカメラ、300キロでも測定
2020年から21年にかけてチームに所属したドライバー3人のヘルメットに、専用のカメラを設置。「富士スピードウェイ」(静岡県)、「鈴鹿サーキット」(三重県)、「スポーツランドSUGO」(宮城県)の各コースで、選手権の公式プログラムの一つであるフリー走行やテスト走行の際、ドライバーがコース上のどの位置で、どのような走行をしている時にまばたきをしているかを調べた。
測定中の最高速度は時速300キロに達する。室内の実験室のような環境と異なり、目に当たる光の量が大きく変動し、体の動きも激しい実走行中のサーキットでまばたきのタイミングを正確にとらえるのは難しい。
このため、「ずっと目をつぶり続けるのはまばたきではない」というふうに、まばたきがどんな動作かを正しく判別できるよう、人工知能技術を用いるなどして工夫を重ねたという。
その結果、3人が走行中にまばたきをする1分あたりの頻度は、少ない人で平均10回以下、多い人で40回以上と、大きな個人差があった。
富士と鈴鹿、まばたき減った場所は
だが、まばたきをする場所はコース上の特定の場所に集中していて、周回を重ねても大きな変化はなかった。
富士スピードウェイの場合…
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