「収容型病院」をどう立て直すか 模索する精神科医療の現場
精神に疾患がある人の入院は多くが長期化しています。そうした状況を変えようと、「収容型病院の立て直し」を掲げ、退院や地域生活への移行を支援している精神科病院があります。取り組みを取材しました。
「本人は退院に前向きです。金銭管理が課題です」「家族にも話して、7月の退院をめざしましょう」
盛岡市の社会医療法人が運営する精神科病院「未来の風せいわ病院」(268床)にある「地域移行機能強化病棟」(58床)。
5月下旬、「退院支援委員会」が開かれた。医師や看護師のほか、精神保健福祉士や作業療法士らが、患者の状況や退院に向けての課題などを次々と共有していく。
指摘された内容は「主治医からの評価」「次回までの取り組み」といった項目に整理され、患者に伝えて話し合う仕組みだ。
地域移行機能強化病棟の制度は、厚生労働省が2016年に設けた。1年以上の長期入院患者の地域移行を進めるもので、月当たりの在宅復帰率や年間の病床削減率などの基準がある。
同病院もこれに沿った計画を進め、16~22年度に退院したのは計195人。このうち、自宅や民間共同住居などの地域生活に移ったのは106人に上る。
1年後も入院していることを前提とした病院経営
この日の担当医師で法人理事…
【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら
- 【視点】
日本は先進国の中で突出して精神科病院の病床数が多く、医学的には入院の必要がない「社会的入院」が少なくないことが長年にわたり批判されています。地域移行の促進は国連の委員会からも勧告を受けている、人権上の重大な課題です。 私は精神障害のある
…続きを読む