「それは本来の医療なのか…」 精神科病院のあるべき姿とは?

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聞き手・森本美紀
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 精神疾患のある入院患者は全国に約26万人で、1年以上の長期入院は6割超の約16万人に上ります。国が精神科医療を地域生活中心とする方針を明確に掲げて約20年がたちますが、なかなか進んでいません。精神障害のある人たちが自分らしく生きられる社会はどうあるべきなのでしょうか。社会医療法人「智徳会」理事長の智田文徳さんに、運営する病院の取り組みに込めた思いや課題などを聞きました。

 ――盛岡市で運営する「未来の風せいわ病院」は2008年度に収容型の病院から地域生活への移行を支援する方向へと本格的にかじを切りました。精神病床数は当時から約4割減少して現在268床、1年以上の在院患者数も当時から6割以上減って106人(22年時点)になりました。何が転換のきっかけとなったのでしょうか。

 父から継いだ今の病院で、長期療養の患者さんが入院する閉鎖病棟の担当になったのが09年でした。薬の大量投与が行われ、看護師の仕事は患者のたばことおやつの管理。平均在院日数は1789日という典型的な収容型でした。病床数をむだにふくらませて患者さんを囲い、収入を得る構造をつくってしまっている現実に直面しました。

自問自答し、病院のあり方を転換

 病状がよくなれば退院するの…

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