乳がんの2割、最初の遺伝子変異は思春期前後 発症の数十年前

有料記事

桜井林太郎
[PR]

 女性のがんで最も多い乳がんで、その約2割を占めるタイプでは、がんの起源となる遺伝子変異を起こした細胞が最初にできたのは患者の思春期前後だったと、京都大や東京医科歯科大、慶応大などの研究チームが明らかにした。その後、新たな変異を蓄積していき、数十年後に乳がんを発症したという。早期診断や予防の手がかりになると期待される研究成果だ。

 がんは、正常な細胞の遺伝子に変異が蓄積してがん細胞ができ、それが増殖して発症すると考えられている。だが、起源となる変異がいつごろ起き、どのような経過をたどって最終的にがんと診断されるか、発症の仕組みは詳しくわかっていなかった。

 研究チームはゲノム解析の技術を使い、変異が蓄積していく速度を調べた。変異は細胞が分裂・増殖していく中で引き継がれていくため、同じ変異を見つけることでルーツをたどることができる。変異数と蓄積の速度から、個々の変異がいつごろ起きたか、順番も推定できる。

 閉経前の5人の乳がん患者で、がん細胞と周囲の細胞を比べ、変異がどのように蓄積していったかを時系列で分析した。

 その結果、4人の患者で、乳がんの約2割で見られる特徴的な変異が平均10・6歳のときに起きていた。変異の起きた細胞は、月経の開始で乳腺が発達するのに伴って増殖して広がり、新たな変異も蓄積。30歳前後までにがん細胞になる一歩手前の細胞が複数できていたと推定された。患者は41~48歳のときに乳がんと診断された。

 同じ特徴の変異を持ち、閉経…

この記事は有料記事です。残り405文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら