障害者が地域で生きる姿伝えたい 重傷負った男性、事件後初めて園へ

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森本美紀
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 障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で入所者19人が刺殺された事件。知的障害などがある尾野一矢さん(50)は重傷を負いました。7年が経った26日、一矢さんは事件後初めて園を訪れ、花をたむけました。傷痕は消えていませんが、地域で「自立生活」をしながら、障害者の姿をより広く伝える取り組みを続けています。

 同日午後1時すぎ。両親や介助者らと同園を訪れた尾野一矢さん(50)は、事件で犠牲になった仲間の名前が刻まれた献花台に花をたむけ、静かに手を合わせた。

「やめとくー」 険しい表情も

 「みんなに元気な姿を報告したね。がんばったね。何か思うことはある?」。知的障害と自閉症がある一矢さんの一人暮らしを3年間支えてきた介助者の1人、大坪寧樹(やすき)さん(55)が声をかけると、「うん」。その後、一矢さんは「やまゆり、やめとくー」。その声は次第に大きくなり、険しい表情になった。

 「やめとく」は、一矢さんが何かを拒むときにふだんからよく発する言葉で、強い意思表示だ。大坪さんがなだめるように「きょうは、どこへ帰りますか?」と聞くと、「かずやんち」。「かずやんちは好き?」と再び尋ねると一矢さんの答えは「うん」。「やまゆりはおしまい。きょうは大仕事でした」とねぎらうと、一矢さんは穏やかな表情を取り戻した。

 「事件を思い出したのかもしれません」と大坪さん。以前は、園がある方向へ車で行くとパニックになることもあったという。最近はそうしたことはなくなったが、「おなか、いたい」と言うことがある。事件で刺された傷痕は、今もおなかに残っている。

「一矢の姿を発信し続けることは宿命」

 大坪さんは言う。「こうして…

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