第2回地球沸騰 でも増やせぬエアコンに水問題…「猛暑対応が年々複雑に」

有料記事適温で暮らしたい 気候危機と夏の住まい

仏西部ナント=宋光祐
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A-stories「適温で暮らしたい 気候危機と夏の住まい」

 国連のグテーレス事務総長が言う「地球沸騰の時代」。7月の世界の平均気温は観測史上最も高くなることが確実とされ、イタリアギリシャ最高気温が40度を超えるなど欧州でも熱波に覆われる日が続く。

 「熱波の期間は年々長くなっていて、いまは5月から、暑さへの警戒を強めるようになっている」

 フランス西部の都市ナント。

 約200人の高齢者が暮らす介護施設「サンジョゼフ」で責任者を務めるグザビエ・ルロンドさん(54)は、猛暑への危機感を口にした。

 訪ねたのは6月下旬。エアコンの利いたレクリエーション室で、入居者たちは職員やボランティアとトランプをして、午後を過ごしていた。

冷たい食事を中心に、暑さ対策専門の臨時職員も

 ルロンドさんによると、ここ数年は熱波による体調不良を防ぐため、夏場はサラダなど冷製の食事を献立の中心にしたり、入居者の家族に小型の扇風機を持ってきてもらうように呼びかけたりするなど、複数の対策を組み合わせている。

 夏に限って、暑さ対策専門の職員4人を臨時に採用もしている。入居者が脱水症状にならないように施設内を回って水分補給を促すことが目的で、ウォータークーラーの増設も進めているという。

 欧州で、熱波が初めて大きな問題として認識されたのは、2003年の夏だった。

 特にフランスでは、熱波によ…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・途上国教育専門家)
    2023年7月29日12時0分 投稿
    【視点】

    ヨーロッパでは気候変動対策が活発で、猛暑や山火事などのニュースの多くは、気候変動の影響がセットで報道されます。さらにフランスなどは、この記事にあるように、こんな状況にもかかわらず電力消費の削減目標をかなり綿密にしていても、市民は皆でやらなけ

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    江川紹子
    (ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
    2023年7月29日13時41分 投稿
    【提案】

    かなり前から「地球温暖化」という言葉に違和感を覚えている。  日本語としてもおかしい。「温暖」とは「気温がほどよくあたたかで、過ごしやすい気候であること」(広辞苑第7版より)を言う。連日、熱中症警戒アラートが発せられ、天気予報では「命に関

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