「2小節でもいいから」 脳腫瘍の手術受け吹奏楽コンクールの舞台に
森北喜久馬
ステージには立ったもののほとんど演奏していない生徒がいる。そんな異例の出来事が、7月の熊本県吹奏楽コンクールであった。そこには、「1人も欠けさせたくない」という先生の強い思いがあった。
熊本市立北部中学校の2年生、鈴木晴登(はると)さんが吹奏楽部の練習に久々に参加したのは夏休み初日の7月22日のことだった。
「2小節でもいいから出てみないか」と、野村博幸教諭(50)が声をかけてきた。
「みんなの迷惑になりますから」と断ったはずだった。6月1日に脳腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受け、6月末に退院したばかり。課題曲は3月の定期演奏会でクラリネットを吹いたが、今度はバスクラリネットでパートが違う。自由曲の方は譜面を受け取っただけ。練習に来たのも、本番を翌日に控える仲間たちを激励したかったからだ。
鈴木さんは2年ほど前から頭…
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