このブログを検索

今週の小ネタ:体脂肪を健康に変えようぜ!料理テクは孤独を防ぐ!ベータアラニンの身体改善効果がすごそうな件


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

体脂肪を健康にするためにも運動は必須なのだ!説

運動は体脂肪を健康なものに作り替えてくれる!」ってデータ(R)が出ておりました。「体脂肪を健康に作り替える?」と思った方もいるかもですが、ひとくちに体脂肪といっても異なる種類がありまして、

 

  • 不健康な脂肪細胞=細胞のサイズが大きく、内部に脂肪がパンパンなため、そこからあふれた脂肪酸が血液中に漏れ出して、心臓や肝臓などの他の臓器に流れ込んでしまう。その性で、霜降りの内臓ができあがってしまう。

 

  • 健康な脂肪細胞=細胞のサイズが小さいため、脂肪の他にもミトコンドリアを大量に保存できる。ミトコンドリアは酸素と食物を細胞のエネルギーに変換するため、酸素と栄養素が脂肪細胞に行き届区ため、脂肪組織の炎症などが起きない。

 

みたいになります。要するに、脂肪の健康レベルはサイズで決まりまして、「脂肪細胞は小さければ小さいほどいい!」と言えましょう。

 

しかし、ここでまだわかってなかったのが、「体脂肪のサイズを変えられるのか?」って問題であります。健康な細胞が劣化して不健康な細胞になることはわかってるんですが、果たして、いったん不健康になった脂肪細胞をもとにもどせるのかは謎だったんですよ。

 

そこで今回の研究では、運動をほぼしていない肥満の男女36人を集めて、みんなの脂肪組織を採取。その後、週4回のペースで、1回45分間は緩やかなペースでエアロバイクに乗り、別に20分間はより激しいインターバル運動をしてもらったらしい。当然、この際には、みんなの体重には変化が出ないように、食事の量もコントロールしております。

 

で、12週間後に再び脂肪細胞をチェックしたら、

 

  • 運動をした参加者は、体重が減っていないにも関わらず、小さな脂肪細胞が大幅に増え、それらの細胞に栄養を与える毛細血管も増えた。

 

  • ついでに、運動した参加者の脂肪組織は炎症が少なく、脂肪細胞の周りの瘢痕化や硬化の症状も少なかった。

 

って違いが出たんだそうな。ちなみに、このような脂肪細胞の改善は、参加者の運動の強度とは無関係に見られたそうで、別にキツい運動をしなくても脂肪細胞は健康になるみたいっすね。

 

研究チームいわく、

 

エクササイズの強度は問題ではなく、ただ参加者が活動的でさえあれば脂肪細胞は改善するのだ。

 

このような変化により、たとえ一時に大食いをして余分なカロリーを摂取しても、これを脂肪組織が蓄積する能力が高まるはずだ。

 

とのこと。脂肪細胞が健康になると、一時の大食いにも強い体ができあがるわけですな。運動は脂肪細胞を鍛えるためにもやるべきなのだ!と考えると、また目標が増えてよい感じですな。

 

 

 

料理テクがある人は孤独に悩まない確率が2倍かも

料理がうまい人は社会とのつながりが多い!」ってデータ(R)が出ておりました。社会からの孤立はめっちゃ体に悪いってのはよく聞く話ですが、この問題を、料理のテクニックが解決してくれるんじゃないか、と。これは良いですなー。

 

この調査は日本人の男性9,551名、女性11,510名を対象としたもので、みんなの料理のテクニックと社会のつながりとの関係を調べたんだそうな。具体的には、

 

  1. 「果物や野菜の皮をむける」「卵や野菜をゆでられる」「魚を焼くことができる」「肉や野菜の炒め物を作れる」「味噌汁を作れる」「煮込み料理を作れる」といった質問で、みんなの料理のテクニックをチェックする。

  2. 「友人との食事の回数」「友人と会う回数」「ボランティアや社会サークルに参加する回数」などを調べて、みんなの社会とのつながりをチェックする。

  3. 上のデータを比べて関係性を調べる。

 

といった感じになります。ほとんど料理をせずに食材を生で食ってる私には、ちょっと気になるデータですね。

 

その結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • 料理のテクニックが高い人は、料理ができない人に比べて、近所づきあいの量が男女とも約2倍多い。

 

  • ついでに、友人と食事をする回数も女性で2倍多く、月に会う友人の数が女性で1.4人、男性で0.6人ほど多い。ボランティアやサークルへの参加する回数も多い。

 

って感じだったらしい。近所づきあいの量が2倍ってのは、なかなかの違いが出てますなぁ。

 

料理テクニックと人づきあいにつながりがある理由は不明ですけど、日本ではおすそわけの風習があるし、コミュニティの行事とかで料理をする機会もあるから、そこらへんが関わっているのかもですな。もっとも、上記の理由が原因だと、そもそも地域コミュニティがなくなりつつ現代の日本だと、料理テクニックの孤独回避メリットは低いかもってことになるわけですが……。

 

 

 

ベータアラニンは兵士のパフォーマンスも上がるぞ!

まずは、「ベータアラニンで兵士の能力が上がるぞ!」ってデータ(R)のお話です。ベータアラニンは非必須アミノ酸の一種で、このブログでも何度か取り上げてきたとおり、筋肉の疲労対策とパフォーマンスの改善に効くと言われてきたんですよ。

 

で、この調査は「ベータアラニンで兵士のパフォーマンスは上がるのか?」ってのを調べたレビュー論文になっております。兵士を対象にした研究がそんなにあるのかと思われそうですが、過去には、兵士にベータアラニンを補給した研究がいくつかあるんだそうな。知らなかったなぁ。

 

ということで、このレビューでなにがわかったかと言いますと、

 

  • 軍事活動中の兵士を調べた研究では、1日6gのベータアラニンを4週間ほど飲み続けた兵士は、プラセボよりもパワーとメンタルがどちらも改善し、射撃の精度が上がったんだそうな。その他にも、負傷者を運ぶテストが上がり、計算の能力も高まったそうで、んー、凄い。

 

  • また別の研究では、トレーニング中の兵士の炎症反応がベータアラニンで減るかどうかをチェック。体重の約50%の重さのリュックをを背負いつつ1日5時間の睡眠だけで27.8kmを走る……というトレーニングをしている兵士に、1日12gのベータアラニンを1週間ほど飲み続けてもらったら、炎症を抑えるサイトカインの量が増えたとのこと。こちらもいいですね。

 

  • 一部の研究では、辛いトレーニングのあいだにベータアラニンを飲むことで、脳の働きが向上する可能性が示されている。しかし、また別の研究では、ベータアラニンで認知機能は上がらないとも報告されており、「よくわからん」としか言いようがない。もしかしたら、めっちゃストレスがかかる状況では、ベータアラニンには意味があるのかもしれない。

 

みたいな感じです。こうして見ると、心身への負荷が高いトレーニングをするような時には、ベータアラニンがいくばくかのバッファになる可能性は高いような気がしますなぁ。HIITをするときとかは使ってみるか……。

 

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM