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今週半ばの小ネタ:パズルゲームで脳機能が爆上がり?エロい老人は早死にしづらい?自然のなかで勉強すると良いことだらけ?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

 

パズルゲームで遊ぶ高齢者の記憶力は20歳並み説

パズルゲームで遊ぶ高齢者の記憶力は20歳並みだぞ!ってデータ(R)が出てたので、内容を軽く見て起きましょう。

 

これはヨーク大学などの研究で、どんな調査だったかと言いますと、

 

  1. オンライン実験を行い、参加者たちに「最近1週間で遊んだゲームは?」「1週間にどれぐらいゲームをしてる?」と尋ね、それと同時に、特定の画像を記憶するワーキングメモリーテストにも取り組んでもらう。

  2. 次に、アクションゲーム、ストラテジーゲーム、パズルゲームなど、どんなゲームをプレイしているのかをチェックする。

  3. 最後に、ゲームをしている人たちのワーキングメモリー能力と注意力をチェックする。

 

みたいになります。ゲームが脳にいいんじゃないか?って研究はそこそこあるんですけど、これは被験者の幅が広くて良いですね。

 

で、結果はこんな感じです。

 

  • 戦略ゲームやアクションゲームをプレイする若年成人は、これらのタイプのゲームをプレイしない成人に比べ、ワーキングメモリー能力が高く、注意散漫になりにくかった。

 

  • しかし、ゲームの種類によって分析をし直したところ、アクションゲームではなく、ストラテジーゲームをよく遊ぶ人の方が、ワーキングメモリーと注意力が優れていた。

 

  • 中でも変化がすごいのはパズルゲームをプレイした60歳以上の高齢者で、この種のゲームをプレイしなかった高齢者よりもワーキングメモリー能力が高く、注意散漫になりにくかった。ただし、ストラテジーゲームが好きな高齢者には、同じレベルの記憶力向上や集中力向上は見られなかった。

 

ということで、パズル系やストラテジー系のゲームは、年齢を問わずワーキングメモリを改善するかもしれず、特に高齢のパズルゲーマーは雑念を抑える能力も高く、それにより記憶力も良くなってるかもしれないらしい。ストラテジーゲームで似たような効果が見られなかったのが謎ですが、ゲームのアクション要素ってのは、意外と高齢者の記憶力や注意力とは関係がないのかもしれません。

 

念のため説明しておくと、ワーキングメモリーってのは、情報を一時的に記憶し操作する能力のことで、「知性が高い」と呼ばれる人の大半はこの機能が高め。通常は20代から30代でピークを迎えて、その後は徐々に低下していくことが分かっております。

 

ってことで、老いも若きもパズルやストラテジー系のゲームをやってみるのはアリだと思う次第です。参考までに、この研究で名前があがったゲームの一部を並べておくので、ぜひお試しください。2048とか、一時期ハマったなぁ……(ハマりすぎてアプリを慌てて削除した)。

 

 

 

 

性的関心がない日本人の男性は早死にする説

エロに関心がなくなると早死にするかもよー」ってデータ(R)が、山形大学の先生方から出ておりました。どんな研究だったかと言うと、

 

  1. 2009年から2015年にかけて、山形県在住で40歳以上の日本人男性8,558人、女性12,411人を調査。性的関心やその他の生活習慣を調べ、年1回の健康チェックそ実施。

  2. 平均7.1年にわたって追跡し、みんなの健康状態と上記のデータを比べる。

 

みたいになります。調査に使われた質問は「大声で笑う頻度はどのくらいですか」「現在、異性に興味がありますか」といった感じで、非常にわかりやすいものになってますね。

 

その結果、調査の期間中に503人の被験者が亡くなりまして、それらのデータをチェックしたところ、

 

  • 男性のうち8.3%が性的関心の欠如を報告しており、これらの参加者は、性的な関心を維持している参加者と比べて、全死因死亡率が高かった。それと同時に、がん死亡率も高く、これらの相関は、タバコや酒とは無関係に認められた。

 

  • 一方で、女性の場合は、性的関心の薄さは死亡率と相関が見られなかった。

 

って感じだったらしい。要するに、エロに強い関心を持ち続ける男性は、さまざまなライフスタイルや健康要因を考慮しても、長生きする可能性が高いみたいなんだ、と。うーん、なるほど。

 

まー、これがどこまで普遍性がある結論かは判断しづらいんですけど、セクシュアリティと心理的な健康の結びつきは昔から言われてきたので、この結論には納得させられました。男性はほどよくエロい爺さんを目指すと良いのかもしれません。

 

 

 

 

自然のなかで勉強すると良いことだらけ説

週に1時間の屋外学習で勉強の成果が激しくあがる!ついでに、教師の仕事の満足度も上がる!」って研究(R)が出ておりました。ざっくり言うと、スウォンジー大学などのチームが、9歳から11歳の生徒を野外学習に連れだし、週に1時間以上、自然環境の中で授業を行った場合の効果を分析したらしい。

 

その結果について、研究チームいわく、

 

教室という制限を抜けて外に出ると、生徒たちはより自由を感じるようだ。自分を表現できるようになり、もっと動き回れることを楽しんでいるた。また、そのおかげで生徒たちはより積極的に学習に取り組み、学習に前向きになった

 

また、当初は、教師たちはこの試験的プログラムに懐疑的だったが、野外学習によって、教師たちの仕事に対する満足度と個人的な幸福感も向上する傾向が見られた。

 

 ってことでして、子どもにとっても大人にとっても野外の勉強にはメリットがあるんじゃないか、と。こりゃあ三方よしでよろしいですな。

 

まぁめっちゃ小規模な試験なので、どこまで信じるべきかと言われればムズいんですけど、野外学習の効果は過去にも何度か言われてきたことなんで、今回の報告も「ありえそうだなー」とか思ってたりします。たとえば、2018年の研究(R)でも、9~10歳の子どもを自然のなかで勉強させたら、みんな注意力が上がって、授業が中断する時間が半分になったなんて話もありますしね。

 

もちろん、長期研究があるわけじゃないので、「長時間やったら自然に飽きて効果がなくなるかも?」という懸念は拭えないものの、そこらへんは謎。といっても、私もたまに新宿御苑で原稿を書いたりしますが、やっぱ集中できるんで、効果はあるだろうなぁとか思ってますが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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