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快眠サプリ「メラトニン」で運動のパフォーマンスは上がるのか?のメタ分析

 

睡眠の問題に役立つ成分といえばメラトニン。私も快眠のために長らくナイトレストを愛用しております。

 

簡単におさらいしておくと、メラトニンは脳の松果体から自然に分泌されるホルモンで、睡眠と覚醒のサイクルを調節する働きをしております。簡単に言うと、暗くなるとメラトニンの分泌が増えて入眠を促してくれるんですな。そのため、睡眠の質と量が不十分な場合、メラトニンは役立ってくれるんですよ。

 

が、近ごろは話題によくのぼるのが、「メラトニンって単なる睡眠ホルモンじゃないのでは?」って観点です。以前も「『メラトニン』は睡眠の改善以外にも使えるぞ!というメタ分析」なんて話を紹介しましたが、メラトニンってのは、免疫系、抗酸化活性、血糖コントロールなど、体内のさまざまな生理作用に影響を与える可能性があるんですね。

 

でもって、新たなメタ分析(R)も、メラトニンの新たなメリットを掘り下げたもので、その内容を簡単にまとめると、

 

  • メラトニンが運動パフォーマンスを向上させるのでは?

 

みたいになります。メラトニンで運動能力が上がるかも?ってのも昔から言われてきた説で、

 

  • メラトニンは睡眠の質を改善することで、間接的にパフォーマンスをサポートする。
  • メラトニンは、トレーニング後の酸化ストレスや炎症を抑えて、回復をサポートする。
  • メラトニンには体温を適度に下げる作用もあるので、運動による熱産生の増加を相殺する。
  • メラトニンは、血糖コントロールに影響を与えるので、グリコーゲンの貯蔵を維持し、筋肉のエネルギー切れが起きにくくなる。

 

といったメカニズムが示唆されてたりします。とにかくメラトニンはいろんな作用があるので、いろんな方向から運動のパフォーマンス改善に役立つ可能性があるんですよ。

 

ってことで、この研究では過去の研究から21件をピックアップし、合計386人の試験を分析してくれております。研究で使われたメラトニンの使用法をまとめておくと、

 

  • サプリを飲む期間は1~14日間
  • メラトニンの用量は1日5~12mg

 

みたいになります。その上で、メラトニンによる運動の有酸素パフォーマンス、筋力パフォーマンス、抗酸化レベルなどをチェックしたんですな。

 

では、その結果を見てみましょうー。

 

  • メラトニンを飲んでも、有酸素運動のタイムトライアル、またはVO2maxのいずれで測定しても、パフォーマンスに有意な影響は見られなかった。

 

  • 筋力(ハンドグリップ)のパフォーマンスに対する効果量はプラスだったが、統計的に有意ではなかった(ES = 0.19、95%CI = -0.28~0.65)。

 

  • メラトニンはグルタチオンペルオキシダーゼ(抗酸化物質)を有意に増加させた(ES = 1.40, 95%CI = 0.29 〜 2.51)。

 

というわけで、メラトニンは酸化ストレスを回復させる可能性があって、それが運動のパフォーマンスを上げるかも?ぐらいの結論ですね。といっても、このデータをよく見ると、研究の各群に7人しか参加していないし、元の研究の著者が標準誤差を標準偏差として誤って報告してたりするんで、かなり数値が大きめに出てるような気はしております。個人的には、あんまり望み薄じゃないかなーって印象を受けました。

 

つまり、今回のデータから抱いた感想をまとめると、

 

  • 基本、メラトニンは運動のパフォーマンス改善には使えなさそう。

 

  • ただし、抗酸化物質を増やす働きは短期的にあるかもなので、もしかしたら慣れないトレーニングやキツめのトレーニングを乗り切るのには役立つかも。

 

  • また、睡眠不足が運動のパフォーマンスを下げる大きいな要因なのは間違いないので、その意味では、メラトニンが間接的に役立つ可能性はあるでしょう。

 

ぐらいの感じですね。今回のデータを見る限り、メラトニンによるエルゴジェニック効果には期待できなさそうっすね。抗酸化物質の補給にしても、タルトチェリーとかのほうが運動のパフォーマンス改善には良いデータがそろってるんで、わざわざメラトニンを使う必要もなさそうであります。あくまでも睡眠改善のオマケとして、運動のパフォーマンスが上がるぐらいに考えておくのが良いでしょう。

 

ちなみに、多くのメラトニンサプリは、1回あたり5~10mgを飲むように指示することが多いんですが、睡眠の改善が目的なのであれば、0.1~1.0mgという少量でも意味のあるレベルの睡眠改善が確認されてたりします(R)。なので、寝むりにつきたい時刻の約1時間前に少量(≤1mg)のメラトニンを飲んでおけば、睡眠が改善するだけでなく翌朝の眠気を最小限に抑えることもできるはず。睡眠に問題のある方は参考にしてくださいませ。


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