このブログを検索

【質問】ビールって身体に良かったりしませんか?

 



こんなご質問をいただきました。

 

ビールは健康にいいんでしょうか。ワインはよく健康にいいと言われることが多いですけど、ビールは悪者になっています。ビール腹とかありますし。

 

なにかビールの良いところとか飲み方を教えてください。

 

ということで、ビールは悪者になりがちだけど、果たして健康メリットもあるのではないのか、と。確かに、このブログでもワインはよく取り上げるのにビールは出てこないので、簡単にチェックしてみましょう。

 

でもって、ご存じのとおり、赤ワインは昔から良いデータがいくつかありまして、

 

  • グラス1杯のワインは有害な酸化LDLコレステロールを減少させ、一酸化窒素を増加させる、血管拡張(血管を広げること)を促進し、動脈を健康にする。
  • それと同時に、赤ワインは体に良いHDLコレステロール濃度を高め、血小板の凝集を抑制。赤血球のベトベトさが減り、やっぱり動脈を健康にする。

 

などと言われております(R)。いずれも血管の健康に良い要素でして、やはりアンチエイジングに良さそうだなーとか思うわけです(R)。

 

その他にも、2,900人の女性を対象とした最近の研究(R)では、適度なワインの摂取(グラス1杯に相当)を飲んでいる中年の女性は、炎症性CRPとフィブリン値が低かったそうな。つまりワインの摂取は心臓病を予防する可能性があるわけです。

 

ちなみに、このような健康メリットが確認されるのは、赤ワインはポリフェノールが豊富な食品のトップ10に入るからです。なかでもピノノワールとカベルネソーヴィニヨンは含有量が多いんで、心臓病のリスクを下げてくれると考えられるんですな。

 

では、一方でビールはどうなのかって話ですが、実はビールもまたポリフェノールが豊富なドリンクのひとつだったりします。ビール中のフェノール化合物は一般的にホップ(30%)と麦芽(70%)に由来しまして、その含有量は原料によって大きく異なるものの、ざっくり赤ワインよりは少なくて、白ワインよりは多いぐらい(R)。そう考えると、ビールも十分身体によいのではないかと。

 

事実、ワインやビールの健康効果に関するメタ分析(R)なんかを見ると、

 

  • ビール摂取量(330mlを1日1~2本)は、心臓病のリスクを下げる傾向がある(R)。
  • ビールの心臓メリットは赤ワインに匹敵するレベルである。

 

といった報告が、16の研究をもとになされています。さらに、約7,000人のイギリス人男性を集め、17年間にわたって追跡調査した研究(R)もありまして、

 

  • 定期的にビールを飲む人は、総死亡率が低い傾向があった。


みたいな結果が出ております。もちろん、これはビールをガンガンに飲もうって話ではなく、だいたい1日1~2本を週に3~4回ぐらい飲む人であれば健康メリットを得られるだろうなーって話なのでご留意ください(R)。男女別に言えば、女性は1日330mlまで、男性は最大でも1日660mlが目安ですね。これ以上のビールを飲むと、逆効果になる可能性がありますんで。

 

これらのデータを見ていると、今のところ赤ワインの研究例が多いせいで「赤ワインは健康!」みたいな風潮が多いものの、別にビールも匹敵するレベルの効果はあるんじゃないかと思うわけです。ビール党はお喜びください。

 

が、このブログをお読みの方ならご存じのとおり、私は「まぁ、そうは言っても酒そのものが身体に悪いからなぁ……」と思ってもいるわけです。近年は「ほんの少しのアルコールでも健康に悪い」って報告が増えてまして、

 

 

などの調査は、いずれもそれなりに説得力を持っているんですよね。おそらく赤ワインやビールのポリフェノールが体に良いのは間違いないとはいえ、そのメリットはアルコールのダメージで相殺されるか、悪くすればダメージのほうが大きいんだろうなーってところです。

 

ちなみに、アルコールがなくても良いという方であれば、近年は「ノンアルコールビールは身体に良い!」って知見が増えつつあるので、こちらを選んでみるのも良いでしょう。これについては、ミュンヘン工科大学での研究(R)が有名で、トレーニングや競技の後の水分補給でノンアルコールビールを飲んだ選手は、上気道感染症(要するに風邪)の発症例が少なかったんだそうな。

 

また、このブログでも過去に「運動後のドリンクは「ノンアルコールビール」が最強説」なんて話を取り上げてまして、どうやらノンアルコールビールってのは、運動後の炎症マーカーを低くする効果が高いみたいなんですよ。このようなデータを見るにつけ、「ノンアルコールビール健康法」みたいな新書でも書いたら多少は売れるんじゃないか……とか思ってしまう次第です(自分では絶対書きませんが)。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search